
敦煌名物料理胡羊燜餅:羊肉とクレープの煮込み料理
中国・甘粛省の西部に位置する敦煌(とんこう)。シルクロードの交易の要所として栄えたこの都市は、世界遺産の莫高窟や鳴沙山・月牙泉といった壮大な観光名所で知られています。敦煌観光といえば歴史遺産が注目されがちですが、最近では歴史や文化だけでなく、バラエティ豊かな敦煌グルメにも注目が集まっています。
そんな中でも、地元の人々に長く親しまれ、観光客の間でも話題になっているのが「胡羊燜餅(フーヤンメンビン)」という伝統料理です。本記事では、この魅力あふれる敦煌の名物料理について詳しくご紹介します。
胡羊燜餅とは?
胡羊燜餅は、簡単に言えば「羊肉と餅(クレープのような薄焼きパン)を煮込んだ料理」です。中国の西北地域、特に甘粛省や寧夏回族自治区など、イスラム教徒の多いエリアで食べられている回族系の郷土料理のひとつです。
「胡羊」とはマトン(成羊の肉)を指し、「燜餅」とは小麦粉で作った柔らかいクレープ状の生地を、羊肉と一緒に煮込んだもの。羊肉から出る旨みが餅に染み込み、濃厚な味わいに仕上がるのが最大の特徴です。
味の特徴と食べ方
羊肉というとクセがある印象を持たれる方もいるかもしれませんが、胡羊燜餅の羊肉は長時間煮込まれており非常に柔らかく、スパイスと調味料でしっかり味付けされているため、意外と食べやすいのがポイント。
餅部分は小麦粉を練って薄く焼いたもので、パリパリというよりはもっちりとした食感。その餅が羊肉の煮汁をたっぷり吸い込むことで、まるでラザニアのような満足感のある一品になります。
食べる際は、スプーンや箸で餅と肉を一緒にすくって食べます。少しピリ辛の味付けになっていることが多く、寒い時期には特に体が温まります。
どこで食べられる?敦煌市内のおすすめ店
胡羊燜餅は、敦煌市内の多くのローカルレストランで提供されています。以下は実際に評価の高いお店の一例です。
① 国輝胡羊燜餅 ★ 老舗で夜も行列!柔らかい羊肉と滑らかな皮が絶品
- 住所:市場巷356号
- おすすめポイント:老舗の人気店で、夜9時でも行列が絶えません。胡羊燜餅は、柔らかく煮込まれた羊肉と滑らかな皮がよく味が染みており、絶品です。脆皮茄子(クリスピーなナス料理)も塩味と甘みのバランスが良く、サクサクとした食感が人気です。
② 靖遠尕六羊羔肉 ★ 柔らかく脂がのった上質な羊肉が自慢!胡羊燜餅も絶品
- 住所:北台巷 沙州楽園東門隣
- おすすめポイント:敦煌で非常に有名な店で、羊肉はとても柔らかく、脂が適度にのり、臭みもありません。胡羊燜餅も評判で、羊肉の香りと味付けが特に秀逸です。
③ 胡羊燜餅(敦煌店) ★ 地元民が絶賛!敦煌で一番美味しいとの評判
- 住所:市場巷68号
- おすすめポイント:地元の人々から強く支持されているお店で、口コミでは「敦煌で一番美味しい胡羊燜餅」との声が多いです。手間暇かけた味付けと肉質が特徴です。
自宅で再現できる?胡羊燜餅の簡単レシピ
本場の味を再現するのは少し難しいですが、家庭でも近い味に挑戦することができます。以下は簡単なレシピです。
材料(2人分)
- ラム肉またはマトン:300g(骨付きが理想)
- 餅(小麦粉を練って薄く焼いたもの):2〜3枚
- 玉ねぎ、生姜、にんにく:各適量
- 八角、シナモン、クミン:少々
- 醤油、塩、唐辛子:各適量
作り方
1.ラム肉をスパイスと一緒に煮込む(1時間〜)
2.餅を食べやすいサイズにカットし、煮汁に加えてさらに煮込む(15分〜)
3.塩・唐辛子で味を整えたら完成
お好みで香菜(パクチー)を添えると、本場の雰囲気が一気に高まります。
なぜ敦煌で羊肉料理が根付いたのか?
敦煌は古くからシルクロードを行き交う多民族が集う都市でした。その中でも回族(中国のイスラム教徒)は食文化に大きな影響を与え、ハラール食材を使った料理が多く生まれました。
羊は乾燥地帯でも飼育しやすく、脂肪が少ない健康食材とされ、体力回復や滋養強壮にも効果があると信じられています。これが、敦煌グルメとして胡羊燜餅が定着した理由のひとつです。
まとめ:敦煌旅行で味わいたい一品
敦煌観光といえば世界遺産や砂漠の風景が注目されがちですが、グルメ体験も旅の大きな楽しみのひとつ。特に胡羊燜餅のような伝統料理は、その土地の文化や歴史を味で体感できる貴重な存在です。
これから敦煌旅行を計画される方は、ぜひこの一風変わった絶品グルメ「胡羊燜餅」を現地で味わってみてください。
味わいから感じるシルクロードの記憶。それもまた、敦煌観光の醍醐味です。